「寝ない赤ちゃん」との毎日――わたしの育児のはじまり
眠らない日々のはじまり
赤ちゃんって、寝ないときは本当にとことん寝ない。
「そのうち寝るよ」と周りは言うけれど、
“そのうち”がどこまで先なのかまったく見えない。
そんな日々を、私は何度も何度も繰り返しました。
長女は、生まれたときからとにかく寝ない赤ちゃんでした。
産科で働く友人からも「こんなに寝ない赤ちゃん、見たことないかも」と言われるほど。
夜中の授乳は3時間おきどころか、1時間おき。
やっと寝たと思ったら、すぐまた起きる。そんな毎日。
試しても効かない育児アドバイス
「母乳が出てないんじゃない?」
「ミルク足してみたら?」
「たくさん遊ばせれば?」
「刺激が少ないのかも?」
まわりからはたくさんのアドバイスをもらったけれど、
哺乳瓶は断固拒否。
昼もぜんぜん寝ない。
こちらの体力だけが削られていく日々。
児童館に行っても、他の子が元気に遊ぶ中、
娘は隅っこでじっとしているだけ。
「この子、何がしんどいんだろう」
「どうすれば寝てくれるんだろう」
そんなことばかりを考えて、心も体もどんどん消耗していきました。
夜と孤独と、検索魔
夜になると、思っていたのはいつも「早く朝が来てほしい」。
祖父母と顔を合わせるたびの定番は「昨夜は寝た?」→「全然…」。
スマホでひたすら検索。
「赤ちゃん 寝ない」「夜泣き」「育児 つらい」
そんなワードばかり入れて、
知らない誰かの体験談に励まされていた毎日。
そんなある朝、夫が「眠いなぁ」と何気なく言った一言に、
私は泣きながら「私の前で“眠い”って言わないで」と気づいたら大声で怒ってました。
感じ始めた違和感
その頃から、少しずつ思い始めたんです。
「この子、もしかしたら他の子とちょっと違うのかも」
焦り、不安、孤独、いろんな感情が混ざっていて、
とにかく「寝てくれたら」って、そればかり願っていました。
実家にも頼れなくなって
どうしても娘とふたりきりで過ごすのがつらくて、
実家を頼る日もありました。
でも、実家にはうつ病を抱える姉が暮らしていて、
泣き止まない赤ちゃんの存在は姉にも大きな負担に。
両親と話し合って、
「実家に来るのを控えよう」
ということになりました。
頼れる場所が、またひとつ減った瞬間でした。
戻ってきた感覚と、自分の限界
夫は仕事の都合で夜勤や出張が多く、
私はほぼワンオペ状態。
1か月ほぼ家に居ないこともありました。
その間も、娘は寝ない・泣き止まない。
私自身、うつ病の既往があったこともあり、
「この感覚…戻ってきてるかもしれない」と気づき始めていました。
どこにも逃げ場がなく、誰にも頼れず、
泣いている娘を見ても何も感じられない瞬間が何度もありました。
「寝てくれさえすれば…」
「せめて誰かと話せたら…」
そう願って、いろんな方法を試しても、
うまくいかない日々。
つらい記憶ではあるけれど、
あのときの“頼れなさ”や“孤独”は、
今も私の心に、確かに残っています。
あの頃の私は、「もうダメかもしれない」と思いながら、
それでも、なんとか前に進もうとしていました。
(2)では、ほんの少しだけ息ができた“ひとつの出会い”について書いてみようと思います。